第九話、アルファ1のデモンストレーションの失敗で、帝国重工の的場取締役、失脚寸前です。それとも、奥沢製造部長をスケープゴートにしてなんとか乗り切るのでしょうか。
ヤタガラス編に突入したこの数回、叫んだり、脅したり…怒号シーンに触れることが多くなったような。ゴースト編に比べると、ドロドロしてますね。このほうが、見てる人の受けも良いようで…。
このところ、野木農大教授には同情しっぱなしです。農業ロボット開発で帝国重工の内製化方針のあおりで、はしごを外された佃製作所の不幸が霞んで見えます(笑)。
さて、帝国重工の内製化方針の背景には、資源依存(モデル/パースペクティブ)という考え方があります。ここでいう資源とは「経営資源」のことで、例えば佃製作所であれば技術力ですね。石油とか天然資源のことではありません、念の為。
資源依存モデルとは、組織間関係(経営環境)の分析モデルの1つ(○○パースペクティブというのがたくさんあります)で「組織はその存続にとって不足しているとされる能力、マテリアル(原料・素材)、製品および資金といった資源を獲得するために組織間関係を形成する」というものです。企業間では「取引」や「出資」「M&A」などが代表的ですね。
佃製作所のバルブシステム(技術)が資源に該当します。帝国重工はこの資源に依存しており、自社では製造が難しいことから、佃製作所と組織間関係を形成した、といった具合です。
アルファ1に話を移すと、帝国重工と野木教授、ということになります。こちらは開発コードが資源になります。キーシンに盗まれたり、帝国重工からは度々開示(脅迫まがいの)を要求されたり、よほど重要な技術なのでしょう。
そのため、毎度、怒号が飛び交うわけですが、これがコンフリクトです。
経営環境の不確実性を排除するために、企業(組織)は力(パワー)を行使することで、環境をコントロールしようとします。そのため、利害が衝突したり、組織間でコンフリクトが起こる、というメカニズムです。
再三にわたる帝国重工の圧迫から、野木教授は開発コードを開放することで、コンフリクトを解消しようという誘惑に駆られます。(毎回、どうすんの?とはらはらします)
しかしどうやら、佃製作所が再度プロジェクトに合流するようで、矛先もトランスミッションに向かい、あらためて佃製作所と帝国重工との関係に着目です。(下町ロケットは帝国重工と佃製作所のラブストーリーなので、そこが見どころですよね)
ちなみに、今回は下町連合はほとんどフォーカスされませんでしたが、こちらの資源依存関係のほうがはるかに複雑かと…。
むしろ今後の展開として、ダーウィンプロジェクトで発生するであろうコンフリクトを楽しみにしています。アルファ1に比べて、利害関係者も多いですし。(第九話では、ギアゴーストの組織内コンフリクトの予兆を匂わせてましたね)